眼科の検査について

眼科検査について
ここ数年でOCT(光干渉断層計)という網膜の断面図を見ることのできる機械がかなり進歩しました。
眼は大体ピンポン玉程度の大きさですが、その網膜の中心部にはものを見る中心で黄斑と呼ばれる、半径3mm程度で視力を司る非常に重要な部分があります。3mm程度ですので眼科顕微鏡で見てもある程度はわかりますが、OCTによりその精細な形態を評価できるようになりました。加齢黄斑変性症というのはこの黄斑という部分に起こる病気ですのでOCTでその詳細が分かります。それ以外に緑内障もこのOCTで評価ができるようになってきています。緑内障は、視神経と視野に特徴的変化を有し、通常眼圧を十分に下降させることにより視神経障害を改善もしくは抑制しうる疾患と定義されますので、以前は眼圧と視野、また眼底を直接見ることで評価してきました。眼圧が高かったり特徴的な眼底所見であったり、視野検査で進行があれば、眼圧を下げる点眼薬を使って治療するのが緑内障診療ですが、OCTでは緑内障で障害された網膜の厚みを計ることも可能になっています。というのは、緑内障はある程度進行してから視野に異常所見(欠損)が出てきますが、網膜の神経はその以前から徐々に侵され薄くなってきています。緑内障の初期で視野に異常所見がまだない場合は、判断が非常に難しいですが、OCTで網膜の厚みを計ることで緑内障の前段階から疑いをつけることもOCTではできます。
OCTが導入されてきたこの頃の大学病院時代に、この網膜の厚みと視野の相関という研究を当時の視能訓練士のとてもできる方と行い、日本眼科学会で発表し学術展示優秀賞という大きな賞をいただきました。大学病院時代もいい思い出やそうでないものありますが、とても優秀な視能訓練士と指導してくださった上司の知見により頂いた大切な結果はとても良い思い出です。そのOCTによる検査はいまは外来診療に必須です。
眼科は診察にたどり着くまで検査がいっぱいあり疲れるなぁと思うことがあるかもしませんが、上記のように色々な側面から検査し病気を見逃さないためにはOCTに限らず眼科検査は必要なので、ご面倒と思うかもしれませんが、ご理解をいただけますと幸いです。

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